乳幼児の歯磨き中のけが

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乳幼児の歯磨き中のけがが後を絶たない。
中でも1〜2歳児が、歯ブラシを口に入れたまま点灯してく地の中をけがするケースが目立っている。
衝撃で乳歯が陥没したり、抜けたりすると、永久歯の歯並びなどに影響が出る恐れがあるほか、大けがをする
こともある。
専門軍は 「歯磨き中は親が良く見守ってほしい」 と呼びかけている。
東京消防庁によると都内で歯磨き中のけがによる救急搬送は、06年44件、07年51件、08年48件、09年47件と、例年50件近く発生している。 今年も9月20日 現在で30件の搬送があった。 ほとんど6歳以下で、09年の内訳を見ると、1歳23人、2歳12人と1〜2歳で全体の4分の3を占める。軽症が多いが、2歳児の3人に1里が入院を伴う重いけがをしていた。原因別では、「歯磨き中に歩くなどして転倒」が29件で最も多く、次いで「歯磨き中に物や人にぶつかる」9件、「歯磨き中に踏み台などの高所から落ちた」3件、「その他(不明含む)」6件。

主な事例は、
・いすの上に立って歯ブラシを口に入れていた2歳男児が転落。歯ブラシが口に刺さり、入院した
・歯ブラシをくわえた2歳女児が、追いかけっこで走り回っていて転倒し、口を切って軽いけがをした
・踏み台に立って歯を磨いていた3歳女児は、前のめりに転倒し、口の中を切った
などがある。

また、国民生活センターによると、全国20の協力病院からの情報では、05年度からの5年間に8歳以下の歯磨き中のけがが78件あり、1〜2歳が60件で77%に上った。09年度と06年度には、それぞれ1歳児が歯磨き中に転び、歯ブラシの先が口の中に刺さって出血した例が報告された。
日本歯科衛生士会の武井典子副会長は「1〜2歳のころに歯ブラシを持たせるのは、生涯を通じて歯磨きの習慣を付ける意味で重要だ。可能ならば座らせて磨かせ、その間は親や大人が目を離さないでほしい」と話している。
また、朝田芳信・鶴見大歯学部教授(小児歯科学)は、「乳歯の負傷は、生え変わる永久歯に影響する可能性がある」と指摘する。転倒や転落時には、歯ブラシが最初に床に当たり、その衝撃が歯ブラシの柄を介して乳歯に伝わる。その衝撃で、乳歯が歯ぐき内に陥没したり、抜ける重傷を負うこともあるという。
歯が抜けてしまうと、隣の歯が寄ってきて歯並びが悪くなるほか、あごの成長にも悪影響を与える恐れがある。また、衝撃の影響で、歯の外側をおおうエナメル質が粗くなったり、色がくすんだ黒茶色になることもある、朝田教授は「いずれの場合も、永久歯が生えるまでの5〜6年は、経過を観察して、歯の成長をうまく促す必要がある」と話している。

永久歯そろわない子、1割 歯周病の原因にも 学会調査

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普通なら上下あわせて28本ある永久歯が全て生えそろわない「先天性欠如」が小児歯科を受診する子供の1割にあがることがわかった。
日本小児歯科学界が発表した。1万5544人分の診療記録を分析した初の大規模調査。学会は「相当多い印象だ」としている。歯が欠如しているとかみ合わせが悪くなり、歯周病など引き起こすこともある。

調査には7大学の小児科と協力医が参加し、12都道府県で1980年代以降に受診した7歳以上の患者のX線画像を分析した。その結果、1568人(10.09%)に、1本以上の永久歯の欠如が認められた。
先天性欠如の場合は、顔の中央から左右5番目に生える奥歯(第2小臼歯)と2番目の前歯(側切歯)で多く、上あご(4.3%)より下あご(7.58%)で多かった。左右の差は小さかった。先天性欠如の原因は解明されていない。歯の位置や本数などによって治療法は異なり、多くは自費治療だ。データをまとめた山崎要一鹿児島大教授(小児歯科学)は「小児歯科の新たな問題の基礎資料とし今後の傾向も見ていきたい」と話している。